M4 症候論 をTeam-Based Learning(TBL)形式で実施しました
筑波大学医学類ではM4の夏休み明けからクリニカルクラークシップ(CC:臨床実習)が開始となり、M4の1学期はCCの準備期間として、身体診察や、症状からの鑑別を行う症候論など、CCを行うために必要な領域を学びます。
症候論は、主訴(症状)から考えられる疾患の可能性を列挙し、臨床情報を用いて鑑別を行い、診断を絞り込む過程を学ぶものです。
今回、総合診療科で担当した症候論「頭痛」・「悪心・嘔吐」・「意識障害・失神」をTeam-Based Learning (TBL)形式で実施しました。
TBLは医学教育分野で急速に広がりつつある教育方法で、大教室内でクラスを少人数のグループに分けて、グループ作業と教員からの講義を繰り返す方法です。能動的・協調的な学習を促す少人数グループ学習のメリットを活かしながら、大規模なクラスを少数の教員で運営でき、専門分野の教員から即座にフィードバックを得ることができる、教育効果の高い学習方法です。
提示された症例で最も考えられる診断は?グループで話し合います。
最も疑わしい疾患は?見逃してはならない疾患は何か? 各グループの解答が出そろいました。
学生による発表。その疾患を疑った根拠、さらに得たい臨床情報についてプレゼンテーションを行います。
その後、教員による解説。実はこの症例の診断は・・・。
学生から驚きの声があがります。実際の患者さんをもとにしたケーススタディ。軽症に見えても重症なこともあるのが実際の現場です。患者さんの命に関わるような重大な疾患を見落とさないためには、注意深い病歴聴取と診察の重要性の認識を新たにしたのではないかと思います。
答えは必ず患者さんの中にあります。患者さんの持っている情報をいかに引き出し、その病態を説明しうる原因をいかに推測し探っていくのかは、医師としての重要な力です。これからはじまる実習、そして医師になってからも、一生磨き続けなければならない、大切な力の一つだと思います。
(平成25年4月27日 前野貴美)